コールドプラズマとは

別名 非平衡プラズマ、弱電離プラズマ
対比カテゴリー 熱(平衡)プラズマ
コールドプラズマ 放電場では軽い電子が印加電界からエネルギーを受け取り、衝突により重い分子にエネルギーが伝達される。この場合、エネルギー保存則と運動量保存則が満たされている。その結果、重い分子の運動エネルギーは殆ど増加せず、電子のエネルギーは分子の内部エネルギーに変換され、分子は電離したり励起することになる(化学的に活性化される)。
ここで、
1)電子と分子の衝突の少ない場合(真空)
2)電子のみを加速しイオンを加速しない選択的な加速を行う場合
3)それでも、生ずるイオンの僅かな加速や電子と分子の衝突によって生ずる分子の僅かな加熱が時間的に累積して分子の運動エネルギーが大きくならないように冷却したり緩和したりすることにより、
電子の運動エネルギーは大きいが、イオンや分子のエネルギーは小さい非平衡状態を作り出すことができる。
この状態をコールドプラズマという。
逆に、分子のエネルギーが大きくなり電子の速度と同程度になると、非常に高温状態となり熱(平衡)プラズマとなってしまう。
例えば、コールドプラズマでは電子を数〜十数eVに加速し、分子を電離したり励起したりするがガス温度は殆ど上昇することはない。一方、熱プラズマにおいて電子と分子がともに1eVに加速されると、約1万度という非常に高温となってしまう。
なお、一般的にコールドプラズマ中の電子やイオンの個数はガス分子数に比較して非常に少ない(6桁以上少ない場合が多い)
大気圧下での生成 真空中ではガス分子の密度が小さいため、電子と分子の衝突が少なくコールドプラズマを生成すること自体は比較的容易で広く用いられている(例えば、蛍光灯)。
一方、大気圧下では、電子の選択的な加熱ならびに分子の冷却緩和に工夫が必要である。
大気圧下でコールドプラズマを発生させることができれば、真空装置などが不要となり多くの分野に応用することができる。
生成方法 バリヤ放電法:2つの電極間に誘電体を挟んで交流電圧を印加する
  無声放電法
  SPCP法(沿面放電法)
パルス放電法:非常に短い高電圧パルスを印加する
  PPCP法
高周波放電法:2つの電極間に高周波電圧を印加するとガス種によってはコールドプラズマが発生する
マイクロ波放電法:空洞共振器にマイクロ波を照射するとガス種によってはコールドプラズマが発生する 
応用分野 大気圧下でのコールドプラズマの応用例
  オゾン発生器
  プラズマ脱臭器
  表面処理機(プラスチックフィルムなどの濡れ性改善、繊維の染色性改善)


PPCP
Pulse-corona-induced Plasma Chemical Process
非常に短いパルス高電圧を印加することで電子のみを加速します。

パルス電源
パルス電圧の立ち上がり時間が100ns程度、パルス半値巾数百ns、パルス波高値数十〜200kVの極短高電圧パルスを生成し、反応器に供給します。
パルス電圧は、半導体スイッチで生成した低電圧幅広パルスをパルストランスとパルス圧縮回路を用いて、極短高電圧パルスに変換します。
反応器 極短高電圧パルスを印加する放電電極と、アース電極からなる放電電極系を構成し、そこにガス通路や表面処理部を設置します。
ガス処理(脱臭、燃焼ガス など)
 ガスダクトの中に螺旋状のアース電極とその中心に放電電極よりなる放電電極系が数十本組み込まれ、そこを処理ガスが通過します。
表面処理(バンパー)
 プラスチックバンパーがスリット状放電電極と接地電極の間に生成されたプラズマトンネルを通過しています
ストリーマ放電 進展開始 (0ns) 20ns後 40ns後


SPCP
Surface-discharge-induced Plasma Chemical Process
セラミックの表面に放電電極、背面または内部に誘導電極を設けた放電素子(SPCP素子)に高周波高電圧を印加することで、電子を加速するとともに、セラミック表面でガスを冷却します。

高周波高圧電源
SPCP素子に〜10kHz、〜10kVppの高周波高電圧を印加します。この場合、イオンの加熱を抑えかつ緩和するために、休止期間(SPCP素子にエネルギーを供給しない期間)を設けています。
また、SPCP素子の放電電力を制御するために、電源の入力電力を制御することができます。

SPCP素子 高純度アルミナセラミックの表面に放電電極を、セラミックの内部(背面)に誘導電極を設け、両電極間に高周波高電圧を印加すると、放電極からセラミックに沿って沿面ストリーマが進展します。
円筒型SPCP素子 フランジ付きSPCP素子 平板型SPCP素子

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